9月のテーマ  鍼治療は本当に痛くないのか?
  この問題は、アンケートなどで調べると、鍼治療を受けたいけれど受けられない理由の一番多いものです。私もこの世界に入る前は体に鍼を刺して痛くないわけがないと思っていました。ところが鍼灸学校の学生の時、実際、体に鍼を刺してみると何回かに1回、まったく痛みを感じないことがあることがわかりました。皮膚痛覚の受容器は皮膚の表層にあるため、その部分をすばやくまっすぐにつらぬけば痛みは感じないのです。
 鍼灸学校を卒業し、東洋医学研究所®所長の黒野保三先生に師事した後、その教えにしたがいくる日もくる日もスポンジや自分の足、兄弟子、弟弟子の体で練習を重ね、第2・第4土曜日の午後には、東洋医学研究財団臨床鍼灸医学研究会で実技の練習をさせてもらうことで、何とか安定して痛みを出さずに鍼を体に刺すことができるようになりました。その間、約6年かかったわけですが、さらに鍼の刺激量の微妙な調整が要求されます。それができるかできないかで患者さんの症状がより良い状態になるかどうかが決まるので、技術の習得は鍼灸師にとって欠かせないものといえます。
 さらに、痛みを出さないために、使用する鍼は太さが0.16mm〜0.20mmと髪の毛程の細いもので、ステンレス製の丈夫なものを使用しております。
 いろいろ、説明させて頂きましたが、それでもやはり怖いと思われる方は、是非一度ためしに来て下さい。手でも足でも2〜3回打たさせていただきますので経験してみてください。それ以上の無理強いはいたしません。副作用もなく効果の高い治療法ですので、痛いという先入観だけで受けられないのは大変惜しいと考えます。

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